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* 蒼い世界へ落ちた君 蒼い宙に残された君
アスランへの思慕
そして、イザークへの想い
自分の心がわからない
同時に二人の異性に恋するなどという事があるのだろうか
少なくとも、イザークに抱き締められた時の龍樹の心は、仲間に対するようなものではなかった
イザークは、夢の中のように美しいが、同時に肉体を持った生身の男なのだ
それをはっきりと感じた
どうしたらいいのだろう
龍樹の悩みは尽きない
この心の内を、どう整理したらいいのか
「何を呆けているの?」
後ろから声が掛けられた
「別にアホになった訳じゃないよ…」
龍樹は振り向かずに応じた
相手はわかっている
幼馴染のラスティだ
「多少は正気に戻ったな」
ラスティは、龍樹の隣に腰を下ろした
「正気で居ることの方が恐ろしい」
「まったく…お前変わらないな。もう少し素直になれよ」
ラスティは呆れると言うよりも、愛おし気に首を振った
別の意味で言うと、優し過ぎたのだ
優し過ぎるお前は軍人となり、戦場で命のやり取りをしなければならないことになれば、心を閉ざす以外に、自らの精神を守る方法はないのかもしれない
戦場の死は酷い
四肢が飛び、内臓が露出するのは茶飯事だ
苦痛に呻きながら一日以上死に切れない者もいる
「私は・・・」
龍樹は呟くように言った
まだ、あまりうまく喋ることが出来なかった
あれ以来
イザークがストライクを追って地球に降下して以来、龍樹にとっては心を閉ざしていた方が、日々、楽であったのかもしれない
ラスティもアスランも、それに気付いているから、なるべくそっとしておいたのだ
「龍樹、やっぱり、お前 艦降りろよ」
「そ、それは・・・」
龍樹は、初めてラスティを見た
「プラントに帰れば家があって、友達が居るじゃん。普通の女の子に戻って昔みたいに笑ってなよ」
「私は…帰れないよ。もうこの手は血で汚れているから―――」
それには、言葉以上に深い意味があることを、ラスティは知っていた
俺たちは軍人だ
戦いの中に身を置いて、数々の修羅場を潜って来た
無論、何人ものナチュラルを殺した
だが、龍樹は言う、血で汚れているという事の意味は、戦場や軍人としてナチュラルを殺したと言う事だけではない
そういう殺伐とした生活を続けてきた者が、いまさら普通の生活に戻れるのか
戦うことの、あの血の騒ぎを知ってしまった人間が、何食わぬ顔で、笑い戯れることが出来るのか
何よりもその資格があるのか
龍樹は、問うともなく、自らにそれを問いかけているのだ
ZAFTは、正義の味方ではない
戦場では、正義など、兵の数と同じほどあるのだ
「イザークのことで、龍樹は自分を責めてるんだろう?」
相手が強ければ強いほど、向かって行きたくなった
イザークの美しい顔に傷をつけた事の悔しさもあった
ストライクと刃を交えた時、のしかかってくるような脅威を感じた
どう戦っていいのか、わからなかった
そして、闇雲に戦った結果イザークは・・・
イザークが自分を庇い蒼い世界へ降下させる破目になってしまった激しい怒りの後で来たのは、虚脱を伴った無力感だった
ZAFTで仲間と一緒に自分が戦おうとしていたもの、それはいったい何だったのか
得体の知れない怪物のように思われてくる
「龍樹・・・」
アスランはおずおずと声を掛ける
「何か用?」
振り向けなかった
ぶっきらぼうに応じたのには理由があった
「お前、イザークに・・・」
「何を言いたいの?」
普段ぼーっとしているアスランだったが、時々 心の内を覗き見をされているような気がする時があった
アスランはどこか恥ずかしそうに言う
「そ、その・・・逢いたいんだろう?」
龍樹はしばし絶句した
否定のしようがないことはわかっていた
認める他はないのか
しかし、寝室を覗き見られたような不快感がある
しかも、先日アスランに抱き締められて、心が大きく揺れ動いた
イザークを失いたくない
アスランを失いたくない
心の底からそう思うのは、同じだ
怒っても仕方がない………
「そうよ」
叫ぶように言って、龍樹は口を真一文字の結んだ
表情は雄弁だった
アスランに心の内を当てれた事への怒り
そして、イザークへの想い
「アスラン、お前なぁ………」
ラスティはため息を吐いた
アスランの想いも、また揺れ動いていた
婚約者 ラクス・クライン
そして、龍樹
どちらも失いたくない
だが、婚約が正式になった以上ラクスと結ばれるかもしれないが、龍樹と他人になってしまうのは嫌だった
無論、口に出してはいないが
「イザークに会いに行けばいいじゃないか」
アスランの言葉に、ラスティすら己の耳を疑った
「な、何言ってんの?アスラン」
「どうやって地球に降下しろっていうんだよ」
それは、アスランが龍樹の心を思いやっての提案だったのかもしれない
今思えば、そんな気がしてきた
ただ、龍樹の心の叫びを終わらせたいが為に思いついたことだったのかもしれない
「ありがとう」
それは本当のことだった
そして、アスランに自分の想いを知られるのは気恥ずかしい
この話は、もう終わりにしたいと思った
「いや・・・」
アスランは哀しげに俯いた
「そうじゃなくて・・・俺は・・・・・・」
「もう、いいってば。イザークの話は」
イザークとアスラン
自分が、どちらを本当に好きなのかわかりかねて、迷っているなどと言う事をアスランに悟られたくはない
「私の事は放っといてよ」
アスランは優しい心の持ち主だったが、ある意味イザーク同様うまくそれを表現する術を持ち合わせていなかった
それ故、本人の知らぬ間に相手を苛立たせる事が多々あった
「………ったく。お前、何、馬鹿正直に言ってんだよ」
ラスティはそんな不器用なアスランの腕を引いて、部屋を後にした
同じ頃、イザークは無事ジブラルタル基地に降下していた
プラントとは違った灼熱の暑さと砂の混じった風が彼らの不快をより大きなものに変え苛立たせた
イザークはその涼やかな髪を灼熱の風に靡かせながら、鋭い眼差しで空を見上げ
「俺以上にお前を幸せに出来るやつなんていないぞ。それに、俺以上にお前を守れる奴も・・・だから、俺を選べ!龍樹」
蒼い宙に置いてきた龍樹、そしてその傍に居るであろうアスランに湧き上がる危惧の念を押し殺しイザークは、届かぬ声で呟いた
「何、置いてけぼりにされた子供みたいな顔してんだよ」
ディアッカの口調はいつもと変わらず、イザークの苛立つ心に心地よく響く
空を見上げるイザークの傍らに立ち、ディアッカは慣れない不快な暑さに襟元を緩め、続けた
「一年で、もっとも蒸し暑い時期なんだってよ、今。あいつらもそのうちこの不快感味わうんだな」
「あいつら・・・」
その言葉が、イザークの胸に突き刺さった
アスランは、龍樹を諦めただろうか・・・
何故?
婚約者 ラクス・クラインがいるのだから
本当に?
「心配することないさ、なるようにしかならないんだから」
ポンとひとつ肩を叩き、ディアッカはイザークの心の内に巣食う危惧を打ち消した
いつもどこかふざけた言動を取り、イザークを苛立たせる事も多かったが、それでも一緒に居るのはそこに、心地よさを感じていたからだったのかもしれない
「あぁ、そうだな… あんな腑抜けに取られる訳がないな」
誰もが自分に都合の良い物語を求める
心弱い人たちが欲しがる物語を
あるいは根拠を求める
それは、まだ幼く愛そのモノの意味すら知らない彼らも同じ
だけれど、その意味は その答えは
蒼
く
広
い
大
海
を
漂
い
彷
徨
い
駆
け
る
君
た
ち
の
そ
の
手
の
中
に
―
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この作品は龍樹様キリ番リクエストにお応えしたものです
[設定等]
相手:イザーク
ヒロイン:私、神威が想像する「貴女」な女の子
シチュ:ライバル心を燃やしてくれてる所
ある意味高いハードル キターー(・∀・)ーー!
私の想像する貴女は、こんな感じ・・・
イザークとアスランを想い、決められずにいる女の子
しかも、両者から想われるという幸せ者
美味しい設定だけで、許してください。すいません OTZ
いつもご愛読して頂有難うございます!
この場をお借りして御礼申し上げます
2009.6.11//Al Sa'd al Su'ud//Master:神威