* An ancient event
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どんなに辛い時も
いくら哀しくても・・・
話してはくれない人
ならば せめて・・・
あなたの心にさす影が
少しでも早く 晴れますようにと
夜空の月に 祈らせて・・・
「こんな所に穴なんかあったっけ?」
そっと覗き込んだ穴には、ありえない人の姿があった。赤い軍服を身に纏ったその人は、だいぶ足掻いたと見え見事なプラチナブロンドの髪さえも泥だらけだった。笑いを堪えるように口を手で覆ったが声が漏れてしまった
笑い声に気づいたその人は、怒り心頭の面持ちで眉間に皺を寄せ睨みつけてきた
「何やってるんですか?そんなところでw」
エリートと呼ばれる赤服が子供だましの落とし穴に落ちて、あがれずに居る姿に笑いが止まらず、先輩といえども悪戯に訳を聴きたくなってしまったのだった
「うるさい!!さっさと手を貸せ!」
人を呼ぶ事さえしないで、独りで足掻いていた事を見てもプライドが高く、素直に助けを求められないのだろう。それが証拠に無様なまでの姿を見られた事に顔を少し赤らめていた
そんな姿に"素直じゃないな"と思ったのは内緒の話
「人に助けを求める人の態度とは思えませんけど…人呼んできますね」
「お、おい!ちょっと待て!」
恥を晒したくないと私を呼び止めるその顔は必死そのもので、でもそれを素直に言えない所が不器用というか面倒くさい人だなって思ったのよ
だから、つい意地悪したくなるの
「私の力じゃ無……あっ!きゃぁ!!!」
天罰が下ったみたいで身を乗り出し、穴の淵にかけていた手下が崩れた。私は体勢を完全に崩しイザーク目掛けて落ちていく
柔らかい髪の間からこぼれる光を背に纏い舞い降りる天使のような姿に、一瞬イザークは受け止める事を忘れ目を奪われた
「逆の態勢のが好みだがな…」
イザークの上に覆いかぶさる形で落ちてた私は、あと数センチで唇が触れてしまいそうな距離で見た顔は、コーディネーターの中でも一段と均整のとれた美しい顔立ちをしていて、その瞳は怖いぐらい綺麗で吸い込まれるかと思った
「変態…」
「っな!!おい!貴様、そこに座れ!どうせ出れないなら説教してやる!!座れ!!」
穴に落ちただけでも機嫌が悪かったのに、変態よばわりされその怒りは頂点に達した。イザークの怒鳴り声をよそに、私は落ちたときに痛めたのか足をしきりに擦る様子に態度を改め、痛めた足首にそっと手を伸ばし診てくれた姿に実は優しくて情に厚い人だと感じたの
「捻挫だな、仕方ない…か…」
降り出した雨もありイザークは胸元から出したものを躊躇いもなく割り、救難信号を発信した姿でそう確信したわ
「そ、それまずいんじゃ…」
「あぁ、プラントでこれ使う馬鹿は俺が初めてだろうな」
泥で汚れてしまっていたが上着をイザークは徐に、雨を濡れないように無言で私の頭にかぶせたしね
「ありがとう!」
素直なお礼に戸惑い、また不機嫌そうに背ける顔にくすりと笑ってしまった
「何がおかしい!」
「だって…」
くすくすと笑う私に釣られて、やっと見せた笑顔はとても素敵だったな
「そうやって、虚勢張ってるのって疲れません?」
「・・・」
「たまには誰かに弱さを見せてもいいと思いますよ、人なんて弱い生き物ですし」
穴から覗く小さな空にはどんよりとした雲がポツリポツリと雨を降らせている
イザークの背中に頭がこつりと当り、次第に身体を預けてくる。時より吹く風に乗って雨と土の匂いに混じる漂う甘い香り
こんなどうしようもない場所で惨めな感もあったが、こいつとなら悪くない・・・
「あんまり怒鳴ってばかりいると余計弱く見えますよ」
「貴様、喧嘩売ってるのか!!!」
"この俺に怯むどころか、生意気な口を利く女にこんなところで出会うとはな…"口の端を上げてにやりと笑ってしまった。
「プラントでエマージェンシーとは、やる時は本当に派手にやってくれるやつだな、イザーク」
信号を受け、呆れ果てた顔で上から覗くその腹立たしい声は、イザークが一番救援に来て欲しくなかったアスラン・ザラだった
「どうしたら、こんなところで穴に落ちれるんだ?」
「うるさい!なんで貴様が来るんだ!!」
「あんまり苛めたらイザークが可哀相ですよ、アスラン」
「誰が可哀相なんだ!!」
もう、最悪だ。ニコルまで来ている…
梯子を下ろしながら、優しく差し伸べる手は白く綺麗だったが、それをイザークは自ら救援を求めておきながらパシリと払い退けた
「立てるか?」
アスランとニコルに向けた声とは違い、優しい声でイザークは私に手を差し出した握った手は力強く嘘のように優しかった。
私はその手に支えられ立ち上がることは出来たが、足の痛みは梯子を登れるような状態でないと言っていた
「その子、怪我してるのか?」
「あぁ、足を痛めてる。梯子以外に何かないのか?」
乗り付けたジープに戻り、他のものを探すアスランにニコルはそっと囁いた
「イザークって女の子には素直なんですね、それともあの子だからかな?」
「さぁーな」
「もう少し、あのまま穴に放っておいでも面白そうですよね」
「ニコル…」
ニコルはこうして、天使のような笑顔で時折垣間見せる黒いオーラがある
確かに救援にきてあの態度を取られると放置したくもなるが、今はこれ以上イザークを刺激してあとあと付き纏わられるのはご免だった
無事二人を救助し私を病院へ連れて行く道中もずっとイザークはアスランに当り散らし、そのそっけないアスランの態度にさらに怒りを露にした
もちろん、礼の一言もなく
そんなイザークの姿に私は安堵した。素直に言わないけれどちゃんと心を明かせる仲間がいてよかったと
そうそう、互いに名乗らなかったのは何故だったのかしらね
ヴェサリウスに私が訓練生で行く前の大昔の話
そんな出会いが逢った事すら忘れてしまうぐらい大昔の夏の出来事
白南風に こひて願わむ 夜半の月影
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短くてすいませーん
死種でシンがステラを助けて遭難したときの話を元にしてます
なんとなく、救援にきたアスランのあの台詞も好きなんですよね〜
3/27
追伸…3/28
ヒロイン視点に修正しました
修正というより書き直した方が良かった気がします
すごく苦しい〆になってしまいました
まぁ、ヒロインと出会ったとき互いに心惹かれあう様とヒロインの優しさが描けていればOKですわ
教訓、体調悪いときに書くと修正の利かない程最悪な結果を招く
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