* STRAW BERRY |
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「お、イザーク」
名前を聴いただけでときめく・・・
「丁度良いラスティ、を知らないか?」
声を聴いただけで 鼓動が高鳴る・・・
「ぅ〜〜〜、王子様のお出迎えだぜ?」
「ラッ、ラスティ!大きな声でそんなこと言わないでよ」
「照れちゃって可愛い♪」
「もーーーーっ、うるさい。あっち行って!!」
「ひどいっ、それが長年連れ添った幼馴染に言うことかよ」
見るからに不機嫌なイザークに私の心は一気に怯える
言葉無く前を颯爽と行く背中に、何度手を伸ばしただろう
「・・・」
「は、はい・・・」
「俺がわざわざ迎えに来ている目の前でふざけ合うとは、どういうことだ?」
突如、振り返り私の髪を徐に手に取り悪戯な笑みさえ浮かべる口元に運ぶ貴方の蒼氷の瞳の鋭い光を前に私は一度息を飲み、それから貴方の怒りを和らげるように言い訳めいた言葉を紡いでみる
「あれは、ラスティが・・・」
「ラスティ・・・ね・・・・・・」
「ごっ・・・ごめんなさい!」
くるくると指先で髪を弄ばれているだけで、あらぬ期待を寄せてしまう
薄ら笑みを浮かべるその唇に・・・
「これからはちゃんとしますっ!だからっ・・・」
「だから?」
「だ・・・だから・・・・・・」
甘い笑みを滲ませた瞳が、不意に迸るように苛烈な光を浮かべる
「優しくしてくださいって?」
イザークは軽く身を寄せ、生意気な事を言う口唇を軽く舐めると、小さく悪戯めいた笑みを零す。イザークはそっとの二の腕を掴み、彼女の欲望を感じとったかのように瞳を細める。瞳をギュッと強く閉じ拒否するかのような表情とは裏腹なの背中に腕を回し抱き寄せた
「じゃぁ、今日は特別だ・・・」
頬に触れるイザークの手がゆっくりと頬を滑り、耳元を掠め、胸元に落ちる
「んなっ・・・!!」
「優しく・・・して欲しいんだろう?」
裾が捲くられ、脚の上を掌が撫でる。びくりと身を竦ませ、はイザークの肩を掴み力任せに押し戻す
「どうした?」
「誰かに見られたら・・・」
「へぇ〜、身体とは裏腹に恥ずかしがるお前を見てると余計鳴かせてみたくなるな・・・」
――― 弄ばれてる
嫌われてるのは知ってたけれど・・・
家が勝手に決めた婚約者だってだけで、疎ましい存在だって分かってたけれど・・・
「ひどい・・・」
大粒の涙が止まらない
次から次へと溢れ出す
頬を転げ落ちる涙の数だけ、イザークは不機嫌になっていく
「もういい、教室に戻るなりなんなり勝手にしろ」
「なんで・・・どうしていつも苛めるの?嫌いなら嫌いって言ってよ!婚約なんて破棄してよ!!こんな弄ばれるぐらいならラスティが対の遺伝子だったらよかった、ラスティはこんなことしな・・・」
「っ!お前の顔見てるとイライラする、さっさと失せろ」
意地悪されるのもいつものこと
冷たい言葉を浴びせられるのもいつものことだけど・・・
なんだろう・・・
胸が痛い・・・締め付けられるこの想いは・・・・・・
露になっている胸元を、痛みを抑えるように強く握り締める手は悲しみに濡れていた
目の前のイザークがどんな表情を浮かべているのか霞んで見えない
「・・・」
美しく咲き誇る華を散らせるほどの強い風が吹き、揺れる木々の枝葉がざわめく音の中に?き消されそう静かな声だった
けれど、にははっきりと届いていた
どんなときでも、イザークの声を待っていたから
「お前なんか嫌いだ・・・大嫌いだ・・・・・・」
氷のように冷たい瞳が苦しいと言ってしまえる程の切ない光を浮かべるように見えた
「俺の前ではいつもビクビクとしているくせに、ラスティの前ではいつも楽しそうに笑顔を見せるお前を見ているとムカついてしょうがないっ!」
一瞬、何もかもが止まった気がした
嫌われてると思っていたのに・・・これは・・・・・・
私はただ、一緒に居られることが嬉しくて照れちゃって 笑顔すら忘れていただけなのに
ただ・・・それだけなのに――――・・・
「俺以外の男の名を呼び、笑うお前なんて大嫌いだ」
白い頬に触れ、瞳の笑みを深め、を誘い込むようにイザークは心ごと身体を引き寄せ瞳を覗き込む
熱情を秘めた瞳が揺らめき、心の、魂の奥底を縛り上げるように瞬く
の背中に腕を回すと、優しく唇を重ねた
2010.03.28
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