* 04[忌むべき唯一存在] |
オペレーション・スピットブレイクが発動されてから72時間、攻撃の第一陣がアラスカに到達し、作戦は開始された 地球軍本部基地とは言え、圧倒的な数で勝るザフトの勝利は明らかに思えた 基地防衛の為に必死に抵抗を試みるアークエンジェルの姿も見えたが、それでも戦局を変えるには至っていなかった は暗い船内で戦況を見つめながら考え込んでいた 「隊長機、帰投します!」 は、突如身を翻し帰投するクルーゼの元へ走った 整備員が補給やら何やらと殺気立つ程に慌しく追われていた クルーゼが帰投するよりも前にイザークが補給の為、帰投していた 「面白くない的ばかりでつまらん…貴様も今回ばかりは暇だろ?」 ヘルメットを取り、乱れた髪を整えるようにかき上げるイザークのその顔は勝ち誇った表情を白衣に風を孕ませ姿を見せたに投げかけていた 「そうね、これでナチュラルが大人しく降参してくれればいいけど…」 イザークに見向きもせず、冷たくあしらわれた事に苛立ちを覚えた 仮にも命をはっている兵士にこんな態度をとってはいけないとはっとしたが、それでも今は気を使う余裕すらなかった 不吉な予感を振り払うかのようには肩で風を切って帰投した隊長機に歩み寄った 「ラウ!」 「隊長!」 聞きなれた二人の声が木霊する格納庫内をコックピットからその姿を探す 白の制服のまま出撃したクルーゼに対し、イザークはきっちりと赤いパイロットスーツを着て、その脇にはご丁寧にヘルメットまで抱えていた 「イザーク、補給かね?」 「ゲートを2つ落としました。今度は中で暴れてきますよ。」 嬉々とした表情で成果を報告するイザークの隣で浮かぬ顔のにクルーゼは唇の端を吊り上げ、僅かに笑った 「足つきが居るせいか、メインゲートがまだ破れずにいる。出来れば君にはそちらを応援してもらいたいが…。」 「はい!!ありがとうございます!」 「行くな…」 は低く囁く 想像も付かないほどの特別な力が動いているそこにイザークを送り出したくなかった しかし、その声は届く事はなかった 声を上げる事が出来ない自分がもどかしい クルーゼの機体のコックピットにとはまた違う赤い髪の少女が見えた ひどく怯えている少女は、連合の軍服に身を包んでいた 「ラウ、その子は?」 「大事な拾い物だよ」 「え?まぁ、いいわ。それよりこの状況はどういうこと?地球軍の主力部隊はパナマに展開させているとは足つきがここにいるのは何かおかしいわ」 「色々と地球軍も面白い構図だろ?強固な守り手が立ち塞がるほど、その奥の宝への期待は高まる。頑張ってもらいたいものだな、足つきには。」 の身体を戦慄が走り、その月の様に美しい眉を寄せる 長く濃い睫が扇状に広がり、その中に輝く真紅の瞳はつい先日クルーゼを慈しみ優しく包んだモノと同じとは思えない程冷たく鋭い視線を放っていた 「隠された宝?何が起こると言うの?」 「、今更知ったところでもう遅い。幕すでに上がっているのだよ」 「サイクロプス…」 「ふん、流石だな。君は…しかし、どうする?今更とめられはせんよ」 「…っく!まさかとは思っていたけれど………」 低く響く艶やかな声、決して咎めている口調ではない 事実を互いに確認し合う 「止める事は出来ないとしても、こちらにもまだ望みはあるのよ」 「ほぉ、どんな望みがあるというのかね?」 言葉と言葉のぶつかり合い 分かり合えない、通じない 気が済むまで愛し合っても譲れない一線、超えられない一線 それは私の大義、彼の大義 決して相容れる事のない大義 しかし、私に向けられた艶やかな声、髪を弄ぶ白い手袋越しの手、仮面越しの瞳の為に私の大義は揺るぎ始めていた アラスカの空が赤く戦火に染まっている 暗い血の色に 身体の芯から凍りつくような悪寒がの身体を覆っていたが、自らを信じる大義の為に奮い立たせ、クルーゼに背を向け格納庫内に華のような甘い香りだけを残して姿を消した 「聞こえるか?フリーダム!応答しろ!!」 『こちらキラ・ヤマト。フリーダムです。貴方は?』 「説明している時間はない。今から言う事を落ち着いて聞いて! まもなく地球軍本部の地下にあるサイクロプスが施設の破棄を兼ねて起動される。 私は立場上ザフトは愚か、囮にされた地球軍の者たちにも通告する術がない。 だから君が…」 『了解しました!』 『ザフト、連合両軍に伝えます!アラスカ基地は、間もなくサイクロプスを作動させ、自爆します!両軍とも、直ちに戦闘を停止し、撤退して下さい!』 冷たい壁に背を預け手早く回線を閉じたは膝の力が抜け、ズルズルとその場に崩れ落ちた エネルギーが張り詰め放出される 音のない音、直後に爆風のようなエネルギーが散った 湾曲はますます大きくなって、歪んだ空間にすっぽりと包まれていく 膨張していく空間が身悶えするように、右に左に捩れ、それにつれて木々も建物も、戦艦すら奇妙に捩れる すでに人の姿は消えていた 異様な光景が人々の目を覆った その身を食い合う愚かな人々を前にクルーゼの笑い声が隊長室に響き渡った が入室するとクルーゼは彼女の"望み"を皮肉に笑った 「それにしても、とんでもない者が現れたものだ」 「・・・」 クルーゼは恍惚な瞳、艶を失い蒼ざめた面持ちのの腰に手を回しその身を引き寄せ、いつものように形の良い唇を味わった は口腔に広がる甘くぬるりとした感触が今までその身を凍りつかせいた悪寒が消えていくのを感じていた 「ラウ、貴方はパトリック・ザラの駒の1つと思っていたけど、それは大きな間違いだったのね」 「君があちらの駒なのは間違いない事実となったようだが…それもまた一興というモノだ」 細く震える白い喉や肩、肌蹴たシャツから覗く胸に舌を這わせ、肌とは違う白い手袋の感触が腿這いあがる 真珠のように白く僅かに淡い桜色の肌が、クルーゼを感じる程に紅潮していく 「こんな私の生に価値があるとしたら、、君に素顔を晒し、こうして抱けるという事だけだな…」 の心臓が痛いほど大きく鼓動を打った を人として繋ぎ止めていた大義が崩れ、虚脱感にも似た感覚と女として得た喜びに素直に喜べない複雑な感情が胸の底で渦巻いた の血のような瞳から零れ落ちる大きな雫、時折漏れる艶やかな声にクルーゼは歪んだ笑みを浮かべ勝利の美酒を味わうかの如く、気高さを捨て妖しく乱れ開かれた身体を攻め立てる。気が狂うほどに激しく、甘く、執拗に… それは闇が光を喰い尽くし、忌むべき唯一の存在を手にした瞬間だった ******************************************************************************** 御題提供:‡decadence‡痛切御題[永劫の鎖10]より 前回にもましてイザーク少な!!Σ SEEDで"舞い降りる剣"の回はかっこいいよねー さり気なくイザークの 『っち!面白くない的だな。こんなもんしかないのか? あ?!おいおいおい…』 って台詞、大好きよ 艶っぽさを感じる私はオカシイデスヨ |